インフィル開発―古い建物を保護しながら都市開発を行う。

December 16, 2020

Author: Leena

私はつい最近ヘルシンキの都市開発に興味を持つようになった。スマートシティ開発、ラーニング環境としてのヘルシンキ、「City as a Service」(CaaS、サービスとしてのシティ)などといったような概念が頭に残る。スマートシティ開発、カラサタマ地区などについてはまた別途書かせてもらいますが、今回は都市開発の一部としての「インフィル開発」について一言を言いたい。したがって、サステイナビリティ関連のブログ投稿が続いている・・・

 

インフィル開発と建物の保護

ヘルシンキにはたくさんの外面が保護された建物がある。ヘルシンキにある大聖堂、ヘルシンキ大学のメインビルディング、そして内閣府などがある帝政様式の中心街から、18世紀に建てられた農家「パキン・タロ」まで、歴史が重なる様々な建築スタイルの建物だ。何十年前は建築的に保護すべきアルヴァ・アアルト建築の建物などが取り壊されたのだけれど、最近は取り壊すより保護したほうが都市の歴史層も体験できるというように思われている。

以上の例とは別にインフィル開発がある。古い建物をそのまま新しい目的に使う、ということだ。立派な例として元病院であるイノベーション・スタートアップハブMaria01が指摘できる。そして、その近くにある、私のヘルシンキのイチオシのラピンラハティ元精神病院です。現在食材浪費減少レストラン「Loop」や画家のワーキングスペース、カフェや近郊農業などがあります。私はラピンラハティが好きすぎて、博士論文の審議会の後のパーティーもLoopにて開催した。

マリア病院

1963年のマリア病院。(c) Helsingin kaupunginmuseo

 

Maria01都市開発

Maria01のスタートアップハブ。

住宅マンションとインフィル開発

フィンランドは現在都市化が進み、ヘルシンキの人口も増えつつある。新たな住宅地を最初から立てることもあれば、歴史的に著しい建物の周りでインフィル開発を行って、建物の外観を保ちながら中を住宅にすることもある。

住宅マンションと言えば、私は住んでいる西ヘルシンキにはいろいろなこのようなプロジェクトが開発されている。ムンッキニエミにあるエレベーター大手企業KONEの元本社は公共住宅マンションに建て替えられ、となりに新築タウンハウスも建てられた。

KONE本社

住宅マンションになった前のKONE本社。(c) Lauri Silvennoinen

 

ムンッキヴオリ地区に大手保険会社ポホヨラの元本社がある。この建物も見た目はそれほど素敵ではないのだが、歴史的に大切な建物として考えられている。そもそも建物は三つあったのだけれで、そのうち二つが取り壊され、一つは保護されて住宅マンション(賃貸マンション)に建て替えられることになった。

本社のインテリアを完全に再築する上、ゾーニングの再開発も行い、周りに同じようなスタイルの賃貸マンションをいくつかが現在設計されている。なかなか面白いと思うのだが、スタイルを組み合わせてインフィル開発を行う、ということだ。

インフィル開発

ポホヨラのも本社が右で、ゾーニング開発を通して行われた新築が左だ。

 

近くの「オスタリ」というムンッキヴオリショッピングセンターも同じような運命がある。1959年に公開されたフィンランドの初「オスタリ」で、現在もまだスーパー、薬局、病院、花や、本屋などがある。SUSHISANというお寿司屋もあるのだ!オスタリは時が流れることによってもうすでに色々な再開発を目撃したのだが、これからのインフィル開発が最も面白い。オスタリの店はほぼすべて地上で、これから現在の建物の上に新しいマンションを構築するとのことだ。

ヘルシンキ保護建物

1959年に建てられたムンッキヴオリショッピングセンター。(c) Lauri Silvennoinen

 

地域の雰囲気は変わってしまうと言っても言い過ぎではないかもしれないが、これからヘルシンキの人口が増えて、歴史を保ちながらどのようにみんなが住めるようなにぎやかな街が作られるのかを考えるべきだと思う。ソリューションの一つとしてインフィル開発が考えられるのではないかと思う。

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