この二年間で、Whimアプリの普及にもよってフィンランドはMaaS(Mobility as a Service) の先進国としての評判を呼びました。
もちろん、こういう開発は他と無関係に起こるわけではありません。フィンランドの様々な都市はスマートシティ開発にたくさんの力を入れて、脱炭素社会や市民により便利な生活を提供することなどを目指して動いています。様々なMaaSソリューションズを真剣に検討するのもその戦略的な一部として考えられるでしょう。
スマートモビリティ開発に優しい国
でも、なぜフィンランドはMaaSの先進国として知られるようになったのでしょうか。理由はいくつかもあるかと思いますが、一つの重要なポイントとしてやはり実証実験が割と簡単に行われるインフラがあるということが指摘できます。新技術の実証実験サイト、いわゆるアーバンテストベッドが多いですし、交通・通信局の許可が必要であっても 関係当局とスムーズにコミュニケーションが取れるシステムが導入されています。法律上の問題も特になく実証実験許可が落ちるのは問題ないでしょう。
それから、フィンランドはKPMGの2020年のAVRI(Autonomous Vehicle Readiness Index)で5位になりました(日本11位)。このリポートでフィンランドの特徴として、
①自動運転車の普及に対して政府の決定力やパフォーマンスは非常に効率的だ
②自動運転車開発に関わっている様々な機関と企業の強いパブリック・プライベート・ビジネスエコシステムが存在する
③デジタル化が進んで、フィンランド国民はデジタルスキルで世界トップだ
ということなどが指摘されています。
特にフィンランドの首都ヘルシンキもイノベーション開発・導入を促進するスマートシティ運動のグローバルリーダーと名付けられました。例としてヘルシンキのカラサタマ地区があります。毎日市民の自由時間を1時間ほど増やすソリューションズが求められていて、スマートシティ・MaaSシンキングはより便利な街づくりへの道として考えられています。
Whimアプリと様々なオンディマンドベースのモビリティオプション
フィンランド発のWhimアプリはいわゆるオンディマンドプラットフォームとしての次世代モビリティ開発です。
Whimを経営するMaaS Global社は公共交通局と民間企業(ベンチャー企業)と協力して、フレクシブルにタクシー、レンタカー、公共交通、フェリー、電車、共有自転車、共有eキックボードなどの利用を一つのアプリを通して可能化しています。
各移動方法の利用券はもちろん別途購入できるのですが、例えばヘルシンキシティバイクのシーズンパスはWhimを通して購入すると割引になります(通常価格35€ vs Whim価格29,90€)。
そして、ルートプラナーを使うとラストワンマイルオプションもはっきりとわかるのがお得です。Whimアプリだけを通してではなく、最も人気があるのはシティバイクオプションだと考えられます。35ユーロで7カ月の乗り放題できる明るくて黄色のヘルシンキ・エスポ―のシティバイクサービスの登録者が約5万人です。また、eキックボードの利用者も増えつつあります。
ただし、eキックボードに対して様々な問題点も最近話題になっています。
例えば、酔っぱらって乗って事故る人は病院でも珍しくないし、使い切ったeキックボードをそのままほおっておくこともよくあるのです。
MaaSとフィンランド、これからの成り行き
もちろん、個人用の乗り物開発だけではなく、自動運転バスなどの実証実験も割と多く行われます。タンペレ市には時速20㎞を走るオンディマンドソリューションのRoboRide自動運転車の実証実験が行われ、ヘルシンキの公共交通局も「自動運転車」や「相乗り輸送ソリューション」などのようなオンディマンドベースのラストワンマイルオプションを求めているそうだ。無印良品がデザインした自動運転シャトルバスGACHAも実証実験段階で普通に走っていましたので、いろいろ面白いソリューションが体験できるでしょう。
これからの新世代のモビリティ開発は一体、私たちにどのような毎日を作ってくれるのでしょう。