フィンランドからのサステイナブルな木質ソリューション: バイオエコノミーの新たな振興

April 30, 2021

Author: Leena

フィンランドの富は木でできているといっても言い過ぎではない。貿易の割合は輸出で5割強程度、国民経済に大きな影響を及ぼしている。ただし、デジタル化が進んで、世界中の製紙工場が非常に困っているというのも事実だ。サステイナブルで持続可能な発展を目指して、土地の約75%が森であるフィンランドは、この事情の中で新たな木質イノベーションを続々出している。

 

木のサステイナブルな使用:「New Wood」コンペティション

2021年4月29日、フィンランドの「New Wood」木質イノベーションコンペティションで次の企業が受賞した。

1.傷を治すナノセルロース

フィンランドの森を創造すると白樺のイメージが湧いてくるでしょう。白樺で作られたUPM BiomedicalsのサステイナブルなFibDex®は次世代の創傷被覆材として受賞した。臨床試験の際、成形外科医は例えば皮膚移植にFibDexの包帯を使ったのだ。皮膚はより早く治り、患者の痛みも安らげることができ、新しい皮膚組織も最強のレベルだった。傷口が治ったら自然い落ちてしまい、病院もより効率的になる。

Sulapac plastic alternative packaging

©Sulapac

2.新林業の副産物からの甘味料

今回New Woodで受賞したのは新林業の白樺の副産物からできている甘味料Rasweet。KoivuBioTechはヘルシンキ大学と天然資源センターLukeと10年間も研究開発を行ってきた結果としてサーキュラーエコノミーとゼロウェイスト社会をプロモートするRasweetが生まれてきた。どの食料品にでも使えられるRasweetが取れる木材はさらに何かの方法で使用できるという。

3.美的感覚のあふれるバイオマテリアル

日本でもうすでによく知られているSulapacのバイオ材料は今回3位になった。
コスメのパッケージング、ストロー、シングルユーズのスプーンやフォークなど、いろいろなアプリケーション方法がある。
完全に生分解性のものとしてマイクロプラスチックも残さないオーガニックな新材料。Rasweetのように、原料として新林業の副産物が使われている。最も面白く、Sulapacのバイオ材料は現在の樹脂成型機械で加工可能だから非常にサステイナブルなイノベーションなのではないかと思う。

 

テクスタイルとパッケージング

木質イノベーションは様々な事業領域で行われる。共通点としてやはり、カーボンボニュートラルな脱炭素の社会を目指すビジネス成長が求められるといえるでしょう。バイオ燃料から特別な木質商品まで、いろいろある。

BErgans Spinnova ano

©Bergans

 

フィンランド人として最も面白いのはテクスタイルやパッケージングに関して行われる開発なのだ。特に、アパレル業の世界中の悪影響を考えるだけで、サステイナブルなテクスタイルイノベーションが非常に重要だと考えられる。(テクスタイルリサイクルについてはこちらをご覧ください。)

フィンランドのSpinnovaは新しい100%サステイナブルな副産物セルロースを使用し、テクスタイル繊維を加工している。世界中注目され、H&Mやマリメッコ、Bergansのような超有名ブランドと協力している。実は、製紙工場が少しずつなくなるフィンランドだが、SpinnovaはブラジルのSuzanoと組んで、2022年にフィンランドに新しいテクスタイル工場を立ち上げる予定だ。

アパレル市場の大きさを考えてみるだけで、このような新たな木質使用方法はもしかして林業の革命の道を開いていくかもしれない。これからMetsa Groupの新テクスタイル繊維Kuuraもどうなるかをワクワクしてフォローします。

 

Fazer Moomin candies with Paptic wrapping

©Paptic

 

もう一つの興味深いイノベーションとしてPapticのバイオパッケージングマテリアルがある。プラスチックの代わりにどのような材料が使えるかという研究は様々な企業の研究開発の渦中にある。Papticは次世代のレジ袋を開発したのだが、有名になった理由としてキャンディーパッケージングソリューションのPaptic Gaviaが指摘できる。フィンランドのチョコレートメーカーのFazerはムーミンのチョコボタンのパッケージでPapticの木質材料を使い、フィンランドの三つの名物を結びついたのだ。Papticはそのサステイナブルな開発のおかげで様々な世界中のコンペティションで受賞した。

このようなソリューションズだが、日本でも使えるのでしょうか。

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