メタバース(metaverse)はこの頃かなり流行り言葉になりつつありますが、フィンランドでも最近メタバースに関するニュースが次々報道されています。1月はメタバースのゲームのスタートアップ企業「YAHAHA 」が大規模のファンディングを集めたことがニュースになり、3月24日に始まったメタバースでの初めてのファッションウィークでフィンランドのファッションデザイナーMert Otsamo氏がデザインしたデジタルなコートが販売されていることも報道され、様々な分野ではメタバースが現実感を増していきます。その中、この数か月間のニュースで特に目立つのはフィンランドに拠点を置くFOV Venturesがメタバースを作り上げる早期段階のスタートアップ企業に投資するためのファンドを創立したことでしょう。これを含めて今回のブログポストで3月~4月中に出ているフィンランドニュースのいくつかをピックアップして紹介したいと思います!
FOV Venturesがメタバースを作り上げる早期段階のスタートアップ企業向けの1650万ユーロのファンドを創立
フィンランドに拠点を置いているベンチャーキャピタル会社「FOV Ventures」はメタバースを作り上げる早期段階のスタートアップ企業に投資する目的で1650万ユーロを集めることに成功し、新たなファンドを創立したことが3月10日に報道されました。これからはヨーロッパにある最多25のプレシード或いはシード段階のスタートアップ企業に25万~50万ユーロを投資することを予定しているそうです。FOV Venturesの設立者はAR/VR分野の投資の経験者2人:フィンランドの首都ヘルシンキに位置しているPetri Rajahalme氏とイギリスのロンドンに位置している Dave Haynes氏となっています。
フィンランドの大手乳製品メーカー「Valio」のビーガン・モザレラチーズがアメリカにも進出
フィンランドの大手乳製品メーカー「Valio」が随分前からフィンランドで大人気のビーガンブランド「Oddlygood 」の下でビーガンの代替乳製品を作っていますが、今回はそのOddlygood のピザで使われるように開発されたビーガンのモザレラチーズ「Oddlygood Plant-Based Mozzarella」がアメリカにも進出します。フィンランドで全国で約300店舗のピザ屋を経営しているKotipizzaのビーガンピザでも使われる代替チーズです。以前からもOddlygoodのヨーグルトがテキサス州のスーパーマーケットで販売されるようになっています。Oddlygoodは現在フィンランドの他、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ロシア、バルト三国で販売されていて、積極的に国際的な成長を目指しているようです。
フィンランドでは最近、菜食主義でない一般の消費者の中にもオーツミルクやその他の代替乳製品や代替肉が益々人気を増しています。今後も新しいビーガン・チーズ、ヨーグルト、ミルクなどが次々と登場し続けることでしょう。
コンビニエンスストアチェーン「Alepa」がロボットによるデリバリーサービスを開始
フィンランド全国的にコンビニエンスストアがあるチェーン「Alepa」がStarship Technologiesの開発したロボットを利用する新しいデリバリーサービスを4月から提供し始めたことが報道されています。Alepaはフィンランドの大手企業HOK Elantoの一部で、Starship Technologiesはサンフランシスコとエストニアに拠点を置く自動運転やロボットを開発している会社です。
第一段階ではエスポー市の6つの地区のAlepaからロボットデリバリーが可能になりますが、それのエリアには合わせて8000世帯が住んでいます。現在は合計60台のロボットがエスポー市民に食料品を配達しています。
ただし、ロボットデリバリーサービスの導入は完全にスムーズいっているとは言えません。手がないロボットが交通信号のボタンを押せなくて、信号に引っかかったり、間違って車道に入ったりするケースもニュースになっています。
Starship Technologiesのデリバリーロボットがフィンランドのエスポー市の他、アメリカ、イギリス、ドイツ、デンマークとエストニアでも使われています。
2021年、フィンランドのスタートアップ企業への投資額は昨年に比べて30%増加
2021年のフィンランドのスタートアップ企業への投資額はまた新記録を達成し、今まで最も高い年間の投資額の120億ユーロを集めていることをFinnish Venture Capital Association (FVCA)が発表しています。投資者の一番多くはベンチャーキャピタル投資家ですが、特に外国からの投資が目立って大きく、昨年に比べて2億5千万ユーロから5億5千万ユーロに約2倍に伸びています。2021年に一番多くの投資を集めたスタートアップ企業には「Wolt」、「Aiven」、「Oura」などがあります。
フィンランドのベンチャーキャピタル投資家もフィンランドのスタートアップ企業にも外国のスタートアップ企業にも記録的に高い投資をしています。特にフィンランドのベンチャーキャピタル投資家からのシード段階のスタートアップ企業への投資が79%伸びています。
フィンランドは国連の「世界幸福度報告書」で5年連続で世界一幸せな国
国連が発表している「世界幸福度報告書」、いわゆる世界の幸せランキングでフィンランドは今年も1位を取得しています。トップの3か国はどれも北欧の国ですが、フィンランドに続いてデンマークは2位、アイスランドが3位となりました。なお、報告書ではフィンランドが他のトップ10の国に比べて著しく高い点数を取っていることも指摘されています。この結果はは主にGallup World Pollによって約150か国で行われた調査に基づいています。調査は100以上の質問を含め、その中身は「幸せ」というより「満足度」をはかります。
フィンランドのNATO加盟申請にまつわる討論が活発的に続いています
ウクライナ戦争がきっかけにフィンランドで始まったNATO加盟申請に関する討論は活発的に続いています。今年1月に行われたアンケート調査によると、NATO加盟に賛成したフィンランド人は30%しかいなかったのに、ウクライナ戦争の影響を受けて、4月にMTV Uutiset (MTVニュース)によって行われた新たなアンケート調査では賛成する人の割合が68%に急激に伸びています。加盟申請の決断はまだですが、短い間でNATO加盟申請が扱われた首脳会談などが次々開催され、申請の事前準備が進んでいる模様です。
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