2022年5月~6月の注目ニュースピックアップ:船舶に設置される「ローターセイル」、環境に優しいコンクリートなどのクリーンテック

July 8, 2022

Author: Markus

真夏のフィンランドからのご挨拶!フィンランドは夏至祭りが過ぎたばかりで、一年で一番明るい時期になっています。弊社ハジメ・ソリューションズが位置している首都圏内では真夜中はやはり少し暗くなりますが、フィンランド北部のラップランドでは白夜という一日中日が沈まない日々が続いています。最近は気温も暖かく、短い夏を満喫するため多くの人が夏休みを取るシーズンです。

さて、今回もまた5月~6月のフィンランドのニュースをピックアップして紹介したく思います!船舶の燃料使用料を減らす現代的な帆の「ロータリーセイル」を製造する企業「Norsepower」、セルロースでできている新しい食品用途のパッケージフィルム、カーボンフットプリントがマイナスになるコンクリートの最近のニュースをピックアップして紹介します。

 

© Norsepower

船舶に設置される「ローターセイル」のNorsepowerがアジアでの展開を目指してNEFCOからのファンディングを確保

Norsepower とは現代的な帆というサステナブル技術を開発しているフィンランド発の企業です。既存の船舶に円筒形の「ローターセイル」(回転する帆)という風を生かす設備を設置することによって、船舶の燃料使用量・排気ガスの量を大幅に減らすことができます。Norsepowerの「ローターセイル」はすでにいくつか大型のフェリーや貨物船に導入されていますが、5~25%の燃料使用の節約が実証されています。

NorsepowerはNEFCO(Nordic Environmental Finance Corporation、北欧環境金融公社)からローンという形でのファンディングを確保したことが6月15日に発表されました。今回のローンの目的はアジアで伸びている需要に応えられるように中国にある製造所を拡大することです。

 

セルロースでできたサステナブルな食品用途のパッケージフィルム

今までも多数のスタートアップ企業を生み出してきたフィンランド国立研究所「VTT」ではサステナブルなセルロースでできた食品用途のパッケージフィルムが開発されました

燃えるごみとして処分されがちな従来のプラスチックフィルムと違って、セルロースのフィルムは紙類としてリサイクルできます。また、自然の中に捨てられてしまっても、紙と同じく完全に生分解します。見た目はプラスチックと区別のつかないほど透明で、耐湿性があります。セルロースフィルムは現在試験段階に入っていますが、VTTの報道によれば5~7年で広く産業界で使用されるようになることも考えられます。

世界的にプラスチックフィルムの市場は去年約1100億ドルでしたが、脱プラが進む中でセルロースフィルムのような環境に優しい代替品の需要が今後ますます増えることでしょう。

 

カーボンフットプリントがマイナスになるコンクリート

普段あまり意識しないことですが、建設業界に欠かせないコンクリート生産のカーボンフットプリントは世界的に飛行機の排出量よりもずっと高くて、環境に著しく重い負担をかけています。コンクリート生産でもっとも重要な材料のセメントは世界中の二酸化炭素の排出量の約8%を示しています

そこで、フィンランド国立研究所(VTT)ではなんとカーボンフットプリントがマイナスになるコンクリートを開発しました。これからは「Carbonaide」というスタートアップ企業として活躍していきますが、今年初めて工事現場で使われる予定となっています。

コンクリート生産プロセスの一部としてコンクリートを特別なコンテナに入れて、コンテナの中で自動的なシステムによって二酸化炭素がコンクリートの中に込まれます。生産方法の実証実験は2021年の秋からスタートし、今年の夏に初めての導入が予定されています。

既存のコンクリート生産所にCarbonaideの自動システムが入っているコンテナを設置できますので、どこでも使えます。したがって、Carbonaide が国際的な市場に展開しやすいビジネスモデルを持っていると考えられます。

「国際的にはいくつかの競合企業がありますが、我々のカーボネーションに基づいている方法が最も効率的で、収益を上げるために最もいいモデルとなっていると思う」と研究者のタピオ・ヴェフマス氏が言います。

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